探究学習 おすすめテーマ「ゴミ問題」

探究学習 おすすめテーマ「ゴミ問題」

◆「ゴミ問題」の現状を知る

 高校生にも身近な課題である、ゴミ問題。今この時も、日本で多くの「ごみ」が排出されている。近年は「食品ロス」や「ファストファッション」といった服の廃棄問題へのなどの課題がニュースなどでも報道され、ごみ問題への関心が高まっている。その中で、まずはごみの排出の現状から見ていこう。

ごみの排出状況(令和2年度)

ごみ総排出量は4,167万トン(東京ドーム約112杯分)、1人1日当たりのごみ排出量は901グラム。

・ごみ総排出量、1人1日当たりのごみ排出量ともに減少。

・最終処分量は前年比4.2%減少。リサイクル率は増加。

ごみの処理状況(令和2年度)

・ごみ焼却施設数は減少(1,070施設→1,056施設)。

・発電設備を有するごみ焼却施設数は全体の36.6%であり、昨年度の36.0%から増加。

・ごみ焼却施設における総発電電力量は増加(約238万世帯分の年間電力使用量に相当)。

・最終処分場の残余容量は微増したが、最終処分場の数は概ね減少傾向にあり、最終処分場の確保は引き続き厳しい状況。

・ごみ処理事業経費は増加。

参考)

環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和2年度)について

https://www.env.go.jp/press/110813.html

こども環境省 2019年版 子供環境白書 みんなで、環境問題について学び、行動しよう!

https://www.env.go.jp/kids/hakusyo/page7.html

 P 16~17 変わりつつある私たちの暮らし方

https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/kodomo/h30/files/16-17.pdf

◆「ゴミ問題」について視野を広げて考える

公害

1960年代から1970年代にかけて、高度経済成長に伴う所得の増加、家電の急速な普及、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの登場などによる販売方式・消費行動の変化などにより、大量生産・大量消費型の経済構造が進展した。そのため、都市ごみは更に急速に増加・多様化した。加えて、活発な生産活動に伴って事業所から排出される各種廃棄物、例えば製造工程中に排出する汚泥・合成樹脂くず・廃油類等の一部は適切な処理がされないまま廃棄された。高度経済成長に伴う急速な工業化の過程で、工場などから排出される有機水銀、カドミウム等の有害廃棄物が公害を引き起こし、周辺住民に甚大な健康被害をもたらした。また、プラスチック等を用いた製品の普及が進み、大量に廃棄されるようになった。プラスチックは腐敗しないため、埋め立てても土に還らず、焼却する際には高熱を発して炉を傷めた。さらにプラスチックの中には焼却の際にばいじん、酸性ガス等を排出するものがあり、大気汚染や公害の原因の一つになった。

環境省 日本の廃棄物処理の歴史と現状

https://www.env.go.jp/recycle/circul/venous_industry/ja/history.pdf

海洋プラスチックごみ

プラスチックの生産量は世界的に増大しており、1950年以降生産されたプラスチックは83億トンを超えている。また、生産の増大に伴い廃棄量も増えており、63億トンがごみとして廃棄されたと言われている。現状のペースでは、2050年までに250億トンのプラスチック廃棄物が発生し、120億トン以上のプラスチックが埋立・自然投棄されると予測されている。

 プラスチックは賢く付き合えば私たちに恩恵をもたらすが、資源循環の分野では、不適正な管理等により海洋に流出した海洋プラスチックごみが世界的な課題となっている。海洋プラスチックごみは生態系を含めた海洋環境の悪化や海岸機能の低下、景観への悪影響、船舶航行の障害、漁業や観光への影響など、様々な問題を引き起こしている。

環境省 令和2年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況 第1部 第1章 第3節 海洋プラスチックごみ汚染・生物多様性の損失

https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r02/html/hj20010103.html

◆「ゴミ問題」に関する探究学習のテーマ例

・2005年度(平成19年度)のこども環境白書によるとゴミを捨てる場所は、あと15年で満杯になる、とされている。15年以上経過した今、満杯になっていないのはなぜだろう?

平成19年版こども環境白平成19年版こども環境白書

平成19年版こども環境白書

https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/kodomo/h19/pdf/10step2-4.pdf

・海洋プラスチックごみの問題とレジ袋有料化の関連について調べてみよう。

・あなたの地域で発生していた(している)公害問題について調べてみよう。

あなたへの問い

ゴミ問題を解決するための取り組みを提案しよう。個人でできる行動、社会全体の取り組みの両方を考えてみよう。

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