2013年、日本が2020年夏季オリンピックの開催都市として選ばれたことから、世界から日本への関心が高まり、翌年の2014年から年々訪日外国人数は増加していました。2019年には過去最高の約3190万人の外国人が日本を訪れました。訪日外国人の日本国内における旅行消費額も、2014年当時は2兆278億円でしたが、2019年には2倍以上の4兆8135億円にまで拡大しました。訪日外国人による日本への経済効果は非常に大きいことがわかります。この増加傾向にある中で、国としても政府一丸となってインバウンド観光促進のため、様々な取り組みを強化し始めていました。しかし、2020年のコロナ禍に入ってから訪日外国人数は急激に減少しました。ウィズコロナの時代、今後インバウンドをどのような方法で進めていくべきなのでしょうか。
参考:JTB総合研究所
https://www.tourism.jp/tourism-database/stats/inbound/
参考:国土交通省 観光白書 令和元年 観光の動向
https://www.mlit.go.jp/statistics/content/001348581.pdf
訪日外国人は、どのようなことにお金を消費しているかみてみましょう。
費目別に2019年の訪日外国人の旅行消費額をみると、最も多いのが買い物代の34.7%、次に宿泊費(29.4%)、飲食費(21.6%)の順になっています。国籍・地域別にみると、中国の旅行消費額が圧倒的に多く、特に買い物代は全国籍・地域の半分以上の額を消費しています。中国に次ぎ台湾、韓国、香港の旅行消費額が多く、日本から近い国であり、行きやすさも関係していることが考えられます。
次に、国籍・地域別にみる訪日外国人1人当たりの旅行消費額をみると、総額で最も多いのは247,868円のオーストラリアです。さらに費目別にみると、買い物代は中国、宿泊費・娯楽等サービス費は英国、飲食費・交通費はオーストラリアとなっており、国籍・地域別で旅行の楽しみ方が異なっていることがわかります。
これらのように、国籍・地域ごとに何にお金を消費するかが異なっているため、ターゲットによってインバウンドの促進方法を考えることができるのではないでしょうか。
日本の店舗には、訪日外国人を対象に免税店となっているところがあります。身近な例でいうと、ドン・キホーテでは免税制度を取り入れています。外国人旅行者などを免税の対象者とし、買い物金額が税抜き5,000円以上から免税可能となっています。また、インバウンドへの取り組みとして、日本国内のドン・キホーテで利用できる無料Wi-Fiの設備や、中国発のクレジットカードである銀聯(ぎんれん)カードでの決済を可能にしています。そして、訪日外国人に人気な商品を英語・中国語・ハングル語・タイ語の多言語の対応が可能になっています。豊富な品ぞろえに加え、深夜営業しているので、日中観光に時間を使う観光客にとっては魅力的であるといえるでしょう。
参考:総合ディスカウントストア ドン・キホーテ
https://www.donki.com/service/tax_free/jp/tax_free.php
訪日外国人1人当たりの旅行支出の図をみると、英国、フランス、オーストラリアは娯楽等・サービスにお金を使っており、体験を重視した消費傾向であることがわかります。このようなコト消費の需要に対して、株式会社日本旅行と長野県飯山市にあるリンゴ農園が連携し、海外からの観光客がリンゴ狩りを体験できたり、日本ならではの美しい風景をサイクリングで楽しめたりする「日本旅行ファーム」という農園があります。ホームページは日本語表記、英語表記で情報がわかりやすく、どちらの体験も専任の英語ガイドがつくので、安心して楽しめるようになっています。この日本旅行ファームの場所は都市部ではなく地方であり、地方が体験型インバウンドの場として注目されるかもしれません。
参考:NTFファーム 日本旅行ファームhttp://www.ntainbound.com/ntafarm/ja/
・訪日外交人数のグラフを見て、2019年以外にも急激に減少している年がある背景を調べてみよう。
・宿泊費により多く支出している訪日外国人にはどんなインバウンドを行うのが良いか考えてみよう。
あなたへの問い
地域がインバウンド観光を受け入れる際に課題となることはなにか3つ以上上げてみよう。
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