街を歩くと、バリアフリーやユニバーサルデザインに配慮したものをよく見かける。意識をしなければ、その存在に気づかない人も多いかもしれない。または、「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」の意味を正しく理解しておらず、違いがいまいちわからない人もいるだろう。2002年12月に閣議決定された障害者基本計画では、それぞれの言葉の意味を以下のように定義している。
「バリアフリー」とは、障害のある人が社会生活をしていく上で障壁(バリア)となるものを除去するという意味で、障害者の社会参加を困難にしている社会的、制度的、心理的なすべての障壁の除去という意味でも用いられる。
バリアフリーは、障害によりもたらされるバリア(障壁)に対処するとの考え方であるのに対し、「ユニバーサルデザイン」はあらかじめ、障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインする考え方。
2017年には、東京パラリンピックの開催に備えて、ユニバーサルデザイン2020行動計画が策定された。世界に誇れるユニバーサルデザインの街づくりを実現するとともに国民全体を巻き込んだ「心のバリアフリー」の取組を展開することを目的としたものだ。
近年多様性が拡大しつつある中で、バリアフリーやユニバーサルデザインがどれくらい認知されているのか、これを機に身近なバリアフリーやユニバーサルデザインに関心を持って調べてみるのもよいだろう。
参考)
バリアフリーとユニバーサルデザイン/総務省
https://www.soumu.go.jp/main_content/000546194.pdf
車いすを使用している人が利用しやすいよう、ボタンの位置を低くしたり、方向を変えずに出入り口を確認できるよう鏡をつけたりするなどの工夫がされている。
視覚に障害のある人に道を案内するために、駅や道路などには点状ブロック・線状ブロックが設置されている。駅のホームの端に設置されている点状ブロックでは、線路への転落を防ぐため、ホームの内側と外側が区別できるように内方線をつける工夫がある。
誰にでも簡単に使用できる自動ドアはユニバーサルデザインの代表例である。
車いすを使用している人だけでなく、両手に荷物を持っている人や子どもを抱いている人などすべての人に便利。
十分なスペースに、ベビーシートなどの設備があるトイレは、乳幼児連れや車いす利用の人だけでなく、誰もが利用できる。
気を付けてみてみると、シャンプー容器には、突起がついている。これは、触っただけで同じような形をしたリンスの容器と区別するためで、リンスの容器には、この突起がない。目の不自由な人だけでなく、頭を洗っているときなどの目をつぶっている場合にもシャンプーとリンスを区別することができる。
交通施設、観光施設、商業施設など様々な場所で使われているピクトグラムは、海外からの旅行者や細かい文字の見えにくいお年寄りなどすべての人が伝えたいイメージを一目で理解することができる。
意識上のバリアをなくすために大切なのが、一人ひとりの「心のバリアフリー」である。「心のバリアフリー」とは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うことである。まず、自分の周りには、どのようなバリアを感じている人がいるか、どのようなバリアフリーの工夫があるかに目を向けてみよう。様々なバリアフリーの工夫に気づいたら、障害のある人などがそれを利用しやすいように考えてみよう。
参考)
知っていますか?街の中のバリアフリーと「心のバリアフリー」/政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201812/1.html#section3
身の回りにあるユニバーサルデザイン/郡山市ホームページ
https://www.city.koriyama.lg.jp/soshiki/33/4934.html
・身の回りにはどのようなバリアフリー・ユニバーサルデザインがありますか?
・障害を持った方を見かけたら、あなたはどのような行動をしますか?
あなたへの問い
身の回りにはどのようなバリアフリー・ユニバーサルデザインがありますか?探してみよう。
カテゴリ)健康・医療・福祉
https://education.ownerjapan.co.jp/article/health/0004a-11/