探究学習 おすすめテーマ「野鳥保護」

探究学習 おすすめテーマ「野鳥保護」

◆「野鳥保護」の現状を知る

春になると、南の国から渡ってくるツバメ。近年、ツバメは減少しているといわれている。ツバメは古くから里山の自然の中で生きてきた、人と自然との共存を象徴する野鳥だ。ツバメが姿を消すということは、懐かしい日本の原風景が消えてしまうということだ。環境省では、全国52カ所の地点で渡り鳥の飛来状況の調査を行っている。

例えば宮城県では伊豆沼という北上川の支流の迫川にある淡水の沼で調査が行われている。この沼の周辺は、かつては北上川と迫川がぶつかる氾濫原で、広大な湿地だったものが、干拓によって多くが水田となり、伊豆沼も一部は埋め立てられ、現在は遊水池として残っており、この地域は、ヒシクイ、マガン、オオハクチョウ、コハクチョウなどの国内最大級の越冬地となっているという。

野鳥を保護するために、どのような取り組みが行われているのだろう。そもそも、どうして野鳥を保護するのだろう。

参考資料)

環境省 渡鳥の飛来状況 宮城県伊豆沼URL:https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/bird_flu/migratory/ap_wr_transit/site_gaiyo/110izunuma.html

公益財団法人 日本野鳥の会 消えゆくツバメを守ろうURL:https://www.wbsj.org/activity/conservation/research-study/tsubame/

◆「野鳥保護」について視野を広げて考える

ラムサール条約

1971年2月2日にイランのラムサールという都市で開催された国際会議で採択された、湿地に関する条約である。正式名称は、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」と言うが、採択の地にちなんで、一般に「ラムサール条約」と呼ばれている。2022年11月5日から13日まで、ラムサール条約の第14回締約国会議(COP14)が行われた。

 

 今回のテーマは”Wetland Action for People and Nature(人と自然のための湿地行動)”で、気候変動への緩和・適応・抵抗のための湿地行動、湿地保全を持続可能な開発戦略へ統合すること、主流の湿地保全のための多国間協力の強化、若者とつながるための呼びかけ、条約の科学的・技術的側面の強化、マングローブのための新しいラムサール地域イニシアチブ、新しい3年間の計画について議論された。

 マングローブのための新しいラムサール地域イニシアチブに関しては、マングローブとその沿岸のブルーカーボンに焦点を当てている。ブルーカーボンとは、藻場などの海洋生態系に貯蓄された炭素のことで地球温暖化対策として注目を浴びている。

参考資料)

環境省 ラムサール条約と条約湿地

https://www.env.go.jp/nature/ramsar/conv/index.html


COP14 closes with 21 resolutions adopted to advance wetlands action for people and nature https://www.ramsar.org/news/cop1


バードウォッチング

双眼鏡などを使って野鳥の様子を観察する「バードウォッチング」。野鳥が好きな方々の楽しみの一つだ。望遠レンズなどを使い、野鳥の様子を美しい写真に収めることもある。

宮城県のラムサール条約登録湿地の伊豆沼。数万羽と言われるガンの越冬地だが、冬の早朝、日の出とともに一斉にガンが飛び立つ。この風景を収めようと早朝からカメラを構える人もいるほどだ。

例えばフクロウやワシなど、なかなか写真に撮影できない鳥類を撮影するためのツアーなども企画されており、貴重な鳥の生態系は観光資源にもなりうる。地域によっては、野鳥を観察するための施設や観光客向けの施設などもあるので、地域にどんな施設があるか調べてみよう。

参考)公益財団法人 日本野鳥の会「バードウォッチング入門」
https://www.wbsj.org/activity/spread-and-education/bbw/


◆「野鳥保護」に関する探究学習のテーマ例

若者が野鳥保護・生物多様性に関心を持つためにはどうすれば良いだろう?

最近始まった野鳥保護・生物多様性のための取り組みを調べてみよう。また、それがなぜ始まったのか、経緯を考え、確かめてみよう。

野鳥保護・生物多様性への関心が高まった時期と、そのきっかけはなんだろう?

野鳥保護・生物多様性のための取り組みを行っている人はどのような人だろう?地域・年代・職業などに特徴はあるだろうか?

あなたへの問い

野鳥の生態系が復活した時とそうではない時の違いはなんだろう?理由と一緒に考えてみよう。

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