カテゴリ:旅行・観光
Youtuberとして活動し、地方の魅力を発信している櫻井亮太郎さん。後編では、Youtubeで効果的な発信の方法や地域の魅力を発信するツアーをどのように企画しているのか?その方法やこだわりについて伺いました。
◆どんな取り組みをしているか
日本の地方には魅力があふれていると思います。自然の豊かさもそうですし、日本は各地域独自の食文化があります。例えば香川県ならうどん、宮城なら牛タン。でも海外の人は「寿司」や「天ぷら」はよく知っていますが、それ以外の食文化についてはなかなか知りません。ですので、我々がYoutubeで英語を使って発信することでどんどん地方の食の魅力を発信していきたいと思います。
例えば、「Sendai」とYoutubeで検索してみてください。すると一番上に来るのは、私たちがプロデュースした動画です。海外の人もYoutubeで情報を集めているので、私たちが作った動画がガイドブックになることを目指しています。この動画では仙台牛や牛タン、塩釜のマグロといった名物をご紹介。松島の寺院も「まるで京都のような庭園が楽しめる」と紹介しています。
自然の豊かさも、地方の素晴らしい魅力です。例えば、東北でいうと、青森は海外の方が好む観光資源がたくさんあると思います。青森県の十和田市にある「奥入瀬渓流」を紹介した動画には、森林の豊かさや川のせせらぎについて海外の方から「amazing!(素晴らしい!)」という反響がありました。十和田市には現代美術館もありますし、素敵な宿泊施設があるのもポイントですね。いい宿泊施設があれば、外国人の方が地域に滞在する時間を増やすことができます。
旅にはテーマが大切です。例えば、山形蔵王で「無音という音を楽しむ」という旅を企画しました。16時半ごろまではスキー場のリフトが動いているので、音がしています。しかし16時半を過ぎれば、リフトが止まり音が全く聞こえなくなります。本当に静かな雪原で、樹氷を楽しむことができるのです。
日本の文化を海外に伝えるコツ
日本の文化を海外に伝えるときのコツがあります。
それは、「海外にもある文化」なんだけど、海外と日本でスタイルが違うものがウケると思います。そういう文化を動画で取り上げると、「うちはこうなんだよ」という風に言いたくなる。
実際そういう動画はコメントが多いです。コメントはその人の心が動かないとコメントしない。私は視聴数よりも、見た人のうちどれくらいの人がコメントしてくれたか?を重視しています。例えば「日本の死生観」を取り上げた動画ですが海外の方からは「うちの国の文化とはここが似ている、ここが違うね」という反響がありました。
・日本の死生観について取り上げた動画「What DYING in Japan is Like | Japanese Funerals 101」(音声が出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=qhMoW9vQa8A
他にも「日本にも海外にもあるカルチャー」の動画の反響は大きいです。「選挙」のドキュメンタリーや「クリスマスに何を食べるか」などにもたくさんのコメントがつきました。
それから、2011年の東日本大震災も世界中だれもが知る出来事です。「What Happened In Japan After The Tsunami?」というタイトルで制作した東日本大震災後の被災地の様子を取り上げたドキュメンタリーについても海外からとても反響がありました。4年前の2018年に公開したのですが、今もコメントが次々に寄せられていますし、動画を見て被災地を訪れた方もいらっしゃいます。
常に「相手」を考える
「外国人」と言っても色々な国の方、年代の方がいらっしゃいます。なので、Youtubeを見ている相手のことは常に考えています。例えば、私のYoutubeチャンネルは、20代~30代、欧米で英語を話している男性がよく見ています。だから「20代~30代の英語を話す男性が見たいものって何だろうか」という視点は常に持っており、「誰に向けてその動画を作っているか?」は常に考えています。
◆未来へ向けて・高校生へのメッセージ
今は動画だけではなく、地域のツアー作りなども行っていて、例えば栃木県の「岩船山」という場所で「爆破体験」ができるツアーをやっています。特撮の戦隊ヒーローものの番組で見る、あの爆破です。↓の動画を見ればイメージが湧くと思います。
実はアメリカにも「パワーレンジャー」という戦隊ものの番組があり、アメリカ人の男性も戦隊ものや爆破が大好き。海外の方向けにツアーを作りましたが、先に日本国内で話題になりました。小さいころに戦隊ものを見ていた男性にはものすごくウケました。
これは栃木県栃木市というところでやっています。皆さんも行ったことはないと思います。そういうなかなか知られていないところにわざわざお金をかけて来たいと思える人を呼び込むためには、「他にはないコンテンツ」があることが必要。お弁当で例えると「「牛肉弁当」、「牛タン弁当」のように、「これを食べてみてね」という打ち出し方が大事だと考えています。幕の内弁当」みたいに「なんでもあり」ではうまく行かないと思います。
地域の魅力は探してみるとたくさん見つかります。例えば私は先日岩手県で「手紙でしか予約が取れない宿」というお宿にも出会いました。そう聞くと、行ってみたくなりますよね?高校生の皆さんも自分に住む地域を調べてみて、「これって他にないんじゃない?」という視点で魅力を探して、発信してみてください。
あなたが海外に発信してみたい日本の文化は何ですか?3個以上考えてみよう。
(櫻井さんのyoutube発信術を参考に考えてみよう)
カテゴリ:旅行・観光
◆おすすめの本
落合信彦「狼たちへの伝言」。
櫻井さんが海外に行くきっかけとなった一冊。国際ジャーナリストとして世界を巡った落合さんが日本の若者に向けて綴った一冊。「海外に行こうと思うモチベーションになった」と櫻井さん。落合信彦さんはアーティスト・研究者として活躍する落合陽一さんの父。
写真・動画提供:櫻井さん